多肉植物の葉挿しのやり方は「元気な葉を付け根からきれいに外し、乾いた土の上に置いて発根を待つだけ」ととてもシンプルです。道具も技術もほぼ不要で、1枚の葉から新しい株がいくつも生まれる、多肉栽培でいちばん手軽な増やし方です。この記事では、葉挿しに向く時期と品種、葉の取り方、具体的な手順、発根後の水やりのタイミングまで、成功率を上げるコツを解説します。
葉挿しの適期は春と秋!気温15〜25℃が目安

葉挿しに最適な時期は、多くの多肉植物の生育期にあたる春(3〜5月)と秋(9〜11月)です。気温15〜25℃で安定していれば、発根も発芽もスムーズに進みます。
真夏は高温多湿で葉が腐りやすく、冬は低温で発根がほぼ止まるため、初心者は避けるのが無難です。また、葉挿しには向き不向きの品種があります。
- 葉挿し向き:エケベリア、セダム(虹の玉・オーロラなど)、グラプトペタルム(朧月・ブロンズ姫)、パキフィツムなど肉厚な葉のベンケイソウ科
- 葉挿しに不向き:セダムの一部の薄葉種、センペルビウム、ハオルチアの一部、アガベなど(株分けや胴切りで増やすのが基本)
初挑戦なら、成功率が高い朧月やブロンズ姫、虹の玉あたりから始めるのがおすすめです。
成功のカギは「葉の取り方」にあり
葉挿しの成否は、葉を外す瞬間にほぼ決まります。付け根の生長点ごと、左右に優しく揺らしてきれいに外すのが鉄則です。
葉の付け根には、新しい根と芽を出す組織があります。引きちぎって付け根が欠けたり、途中で千切れたりした葉は発根しません。茎を軽く押さえ、葉を左右に小さく振るように動かすと「ポロッ」と抵抗なく外れます。水やり直後は葉が折れやすいので、土が乾いているタイミングで作業しましょう。なお、植え替えのときに自然に取れた葉や、ポロポロ落ちた元気な葉も葉挿しに使えます。しわが寄った古い下葉より、張りのある中段の葉のほうが体力があり成功しやすいです。
多肉植物の葉挿しのやり方【5ステップ】

手順はいたって簡単で、「乾いた土に置いて、明るい日陰で待つ」だけです。やりがちな失敗は「すぐ水をあげる」「土に埋める」の2つなので、そこだけ気をつけてください。
- 葉を外す:付け根から丁寧に外し、断面が欠けていないか確認します。
- 2〜3日乾燥させる:外した葉は風通しのよい日陰に置き、付け根の傷を乾かします。
- 乾いた土の上に並べる:多肉植物用の土をトレーや浅鉢に入れ、葉を仰向けに寝かせて置きます。埋める必要はありません。
- 明るい日陰で待つ:直射日光の当たらない明るい場所に置き、水やりはせずに待ちます。
- 発根・発芽を確認する:2〜4週間ほどで付け根からピンク色の根や小さな芽が出てきます。
発根前に水を与えると葉が腐る原因になります。葉に蓄えた水分と養分だけで根と芽を出せるので、「何もしない」が正解です。
発根したら?水やり開始と植え付けのタイミング
根が出たら、根の先端を軽く土に触れさせて霧吹きで少量の水やりを開始します。ここからは「土の表面が乾いたら軽く湿らす」を繰り返して子株を育てます。
| 段階 | 期間の目安 | 管理内容 |
|---|---|---|
| 発根まで | 2〜4週間 | 水やりなし・明るい日陰 |
| 発芽〜子株生育 | 2〜3ヶ月 | 霧吹きで少量の水やり・徐々に日に慣らす |
| 親葉が枯れる | 3〜6ヶ月 | 子株が独立。通常の水やりへ移行 |
| 鉢上げ | 直径2〜3cmになったら | 小鉢に植え替えて通常管理 |
元の葉(親葉)は、子株に養分を送りながら少しずつしわしわになり、最後はカリカリに枯れます。親葉が自然に枯れて取れたら子株の独立完了。無理に早くむしると子株を傷めるので、自然に枯れるまで待ちましょう。
よくある質問(FAQ)
根は出たのに芽が出ません。失敗ですか?
失敗ではありません。根が先に出て、芽が出るまでさらに1〜2ヶ月かかることはよくあります。根が出ている限り生きているので、少量の水やりを続けて気長に待ちましょう。逆に芽が先に出るパターンもあります。
葉がしわしわになって腐ってしまいます。原因は?
腐る原因の多くは「発根前の水やり」「湿った土に置いた」「直射日光」の3つです。透明感が出てぶよぶよした葉は腐敗なので取り除きます。単にしわが寄るだけなら養分を子株に送っている正常な過程です。
葉挿しの成功率はどれくらいですか?
品種と季節によりますが、朧月や虹の玉など丈夫な品種を適期に行えば7〜9割は成功します。エケベリアの高級品種などはやや成功率が下がるため、葉を多めに用意して数で勝負するのがコツです。
冬に葉挿しをしても大丈夫ですか?
15℃以上を保てる室内なら可能ですが、生育が遅いため発根まで1ヶ月以上かかることもあります。急がないなら春まで待つほうが成功率も生長スピードも上がります。
まとめ
多肉植物の葉挿しのやり方は、①適期は春と秋(15〜25℃)、②葉は付け根からきれいに外す、③乾いた土に置くだけ・埋めない、④発根(2〜4週間)までは水やりしない、⑤根が出たら霧吹きで少量ずつ、が基本です。1枚の葉が小さな株に育っていく過程は、多肉栽培ならではの楽しみです。植え替えで取れた葉を捨てずに、ぜひ葉挿しで増やしてみてください。