今回は「1株100万円を超える高級多肉植物の世界」というフレーズでニュースになることもある「高級多肉植物」についてや、なぜ多肉植物が高額になるのかについて紹介していきます。
増やすのがむずかしい
最もシンプルな理由が増やせない」ということです。簡単に増やせる品種であれば、今現在どんなに高い値段がついているものでも数年で値段が下がっていきます。
下記多肉植物は高額になる場合があります。
エケベリア カンテ
ベンケイソウ科 エケベリア属
美しさに定評のある品種で、「エケベリアの女王」と呼ばれるほどです。大型で30cmほどになるのですが、薄く繊細な葉はピンクからパウダーブルーのグラデーションに彩られとても印象的です。大きい葉が幾重にも折り重なる美しい樹形を作るには、下葉を枯らさないように、また変形させないように、育て方にコツがあります。
アガベ ピンキー
キジカクシ科リュウゼツラン亜科 アガベ属
一株で30万円以上という記録を樹立したのがアガベ「ピンキー」です。正式には、「王妃笹の雪 A. filifera var.compacta」のA型の白覆輪になり、真っ白な覆輪(外側の斑)と深緑のコントラスト、フィリフェラらしい白い糸が印象的です。加えて、力強さと繊細さを兼ね備えたその美しさやごくわずかしか現存しない希少性から、伝説に近い多肉植物になります。
ハオルチア 万象錦
キジカクシ科ツルボラン亜科 ハオルチア属
万象 H. maughanii の斑入り種です。万象錦といっても多くのバリエーションがあり、気軽に手に入るものから数十万円を軽く超える超高級種(個体)までさまざまあります。
交配がたいへん
新しいハイブリッドには他にはない高額な値段がついていることがあります。それは、希少性はもちろんのことですが、ハイブリッドを作るのに並々ならぬ努力と時間とコストがかかっているため高額になります。例えば、成長の早い品種にエケベリアがありますが、その品種でも種をとってからまともなサイズになるのに2~3年かかる場合もあり、更にそれを葉挿しなどで増産するため、流通に乗せられるまでに5年かかります。そこに「誰も見たことがない」ような特徴のある品種はめったに出ることもなく、厳しく選定すれば数も減り、数が減れば価格は必然的に高くなります。
輸入にコストが掛かってる
多肉植物は国内で生産しているものだけではなく、海外から輸入してきているものも多く流通しています。そのため輸入するために膨大なコストがかかるケースがあります。加えて海外から買い付けする場合は、原価が高いケースもあり、特に最近人気のアガベの新品種はこのパターンが多い傾向にあります。またワシントン条約で輸出入が規制されているものだと、育ちにくい国内株が増えるのを待つしかなく、どうしても供給が不足して高価になる種もあります。
長い時間経っても姿や大きさが変わらない
これまで多肉植物が高額になる理由として、生長が遅い、販売コストがかかるなど販売する側の事情を挙げましたが、逆に買う側の立場から「高い値段を出しても良い」と考える理由がどこにあるかというと、それは「生長が遅いから良い」という真逆の理由からも考えられます。俗に言う「富裕層さんがコレクションしている」というときの大きな理由の1つです。生長が遅いということは、買ったときの姿を長く保ち続けるということで、逆によく動く植物は買ったときの姿が保てません。買ったときの姿がかっこよくて高額でも購入したが、かっこよい姿が崩れてしまうと台無しになります。この「長期保有しても価値が崩れない」というところが「資産」のように評価されるので富裕層に好まれる理由になります。このような理由で取引される高級種は、今も昔も継続して高級種であることが多く、時代に左右されない確かな価値があるからこそ高額になります。
増やして育てて高く売ろうとしている
多肉植物は増やすのがさほど難しくなく、簡単に増やすことができることから、1株を高い値段で買ったとしても、10株に増やせば価格を1/10で売っても元が取れる場合があり、生産に自信のある業者が10倍の値段を出してさらに価格が上がる場合があります。このようにそうした業者が、増産・再販目的で原木を購入することによって、ニュースを賑わす「1株100万円」になるケースが多くなります。
バブルと思ったら冷静になろう
「高く売れるから高く買う」というループでどんどん値段がつり上がっていく現象のことを経済用語でバブルといいます。多肉植物の中でも本当に価値のある品種や量産が難しい品種はなかなか価格は下がりません。しかし中には「高く売れるから高く買う」という原理で、一時的にバブルな値段がついている場合もあります。その場合は、一旦冷静になり価格が下がるタイミングを待つことをお勧めします。
まとめ
今回は「高級多肉植物」についてやなぜ多肉植物が高額になるのかについて紹介してきました。
様々な理由で高額になるケースがありますが、安価な多肉植物もあり自身の予算や好きな見た目で多肉植物を選んで見てはいかがでしょうか。